プリンタの解像度について
より表現力を高めるために高解像度は必要。
過去、プリンタは印刷解像度の高さや印刷スピードで競っていた時期があった。
現在、キヤノンの複合機ではローエンドで4800×1200dpi、ハイエンドでは9600×2400dpi、
エプソンの複合機は共通で5760×1440dpiという印刷解像度だが、
はたしてこんなに高い数値は必要なのだろうか?
メーカーにそんな素朴な疑問をぶつけてみたところ、
「より表現力を高めるために高い解像度が必要」という答えが返ってきた。
プリンタの解像度は、1インチ(2.54cm)あたりに打てるインク滴の間隔を指している。
9600×2400dpiであれば、横方向は1インチ内に9600ドット、
縦方向は1インチ内に2400ドットという精度で狙ってインク滴を落とせることになる。
インクジェットプリンタは、4色や5色など、プリンターにセットされたインクを重ね合わせて、
さまざまな色を生み出している。
ここで印刷解像度が高ければ、より細かくインク滴を重ね合わせられるようになるので、
メーカー側が考えた通りの色が出せるというわけだ。
もちろん印刷品質は、解像度だけでなく、インク滴の大きさにも左右される。
一時期、プリンタは「1ピコリットル」(1兆分の1リットル)など、
インク滴の小ささをうたっていた時期があったが、
この値が小さいほど色を重ねられる自由度が高まるし、粒状感も減る。
さらに場合によっては、インクの色数も影響してきそうだ。
近年、プリンタの解像度が高まり、インク滴が小さくなったことで、
シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック(いわゆるCMYK)という基本の4色でも
より多くの色を表現できるようになっている。
キヤノンによれば、「以前は解像度やインク滴のサイズなどで限界があって、
そこで再現できない色を補完するために
フォトシアンやフォトマゼンタという中間色が必要だった。
今は細かいドットが可能なので、濃度や打ち方を工夫することで、
その中間色がなくても狙った色を出力できる技術が確立されています」とのこと。
ただ、一方で目の肥えた人が見ると、やっぱり違いが分かるという声もある。
エプソンのハイエンド複合機「EP-902A」では、
「濃い色で薄い色を出そうとするとやっぱり無理がある」ため、
CMYKだけでなくライトシアン/ライトマゼンタという2色を採用している。
また、キヤノンのハイエンド複合機「MP990」でも、
「色転びを防ぐため」にCMYKに加えてグレーのインクタンクを搭載している。
話から広がってしまったが、技術の向上で、
今ではローエンドモデルでも画質の「基礎体力」が引き上げられている。
印刷がきれいかどうかの基準はユーザーによって異なるため一概に言えないが、
その辺、販売店で出力サンプルを見て判断してみてはいかがだろう。 |